ジョゼフ・キャンベルの英雄神話③
<ジョゼフ・キャンベルの英雄神話②>の続き
Ⅲ.帰還
(プロップの類型の20.「主人公の帰還」~31.「結婚(もしくは即位のみ)」 に相当)
① 「帰還の拒絶」 日常世界と統合しなくてはいけない。収穫物(エメラルド板・黄金の羊毛・玉手箱・不老長寿の薬・金銀財宝・王女など)を持ち帰らなければならない。世界を再生させなくては。
しかし、故国への帰還の旅立ちを、拒否する。
② 「呪的逃走」 追跡者の手から逃れる。
呪術的なものが関わってきたりする。
例)イザナギが黄泉から逃げ帰るときに、黄泉醜女に蔓草で出来た髪飾りや櫛の歯をなげつける。口裂け女に「ポマード」と言う。
③ 「外界からの救出」 再生。もう1度死んで生まれ変わる。白の象徴。 例)ピノキオも人形として死んで人間に生まれ変わっている。
ときにそこに外部的な超常力が加わる必要がある。産婆役が現れたり。
例)アマテラスの岩戸からの脱出(アメノウズメが産婆役?アマテラスは鏡に映った自分を見て身をのり出す)。
例)敵が死んだと思ったら銃こちらに向ける。主人公から見えないけど妻の鏡にうつる。妻、主人公の銃をとって敵を撃つ(妻が産婆役)。
④ 「帰路境界の越境」 越境。彼岸から此岸に戻る。
⑤ 「二つの世界の導師」 空間と時間の仕切りを越えて帰還に至る。
恐怖、執着、希望、個性、すべて放棄。自己消滅に抵抗せず、大いなる一体化。無名の存在となる。2つの世界の導師となる。
これまで仮の姿であったものの正体が現れたり。
英雄が故郷に戻ると、新たな王国。婚姻が進み、財産が配分され、活気に満ちる。祭りが挙行されたり。
これらの過程の一部だけがとりあげられる物語もある。
ある人のある過程段階が他の人のある過程段階であったりする。
イニシエーションとはつまりは、遠くへ行ってかえってくること。自分だけで。隔離されて、社会から、拡がっている森や海へ、目当ても方角もわからぬまま行かねばならない。
朝起きると虫になっている
物理的距離だけでなく、精神的な距離であることも(大人から子どもになることであったり、欠落を回復すること)。
日常(欠如)から非日常へ。2つの世界。意識と無意識。ピーターパンは無意識の世界からの使者。
そしてそれはどちらも1人の人間の中にあるものである。
帰ってきて、現実を確認でき、安堵し、得ることができる。
逆パターンもある。 例)鶴の恩返し、風の又三郎
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