ジョゼフ・キャンベルの英雄神話類型①
ジョゼフ・キャンベルは、世界中の英雄伝説に共通している構造を明らかにしました。
ジョージ・ルーカスがその論を適用して『スター・ウォーズ』をつくったそうです。
ジョゼフ・キャンベルの説を、ジェームス・ボネット の説も加えて、下記にまとめてみました。ところどころ私の見解も入っています。
Ⅰ.出立
(プロップの類型の1.「留守もしくは閉じ込め」~14.「呪具の提供・獲得」に相当)
① 「冒険への召命」 不均衡、欠損状態にある(冒険へ進む原動力になる)。
それに直面しなきゃいけないことが起こる 例)結婚式の招待状が届く。
冒険への使命がもたらされる。神・老人・特定の声などによる合図があったり。
日常からの出立・分離。幼年期の終わりの訪れ。
社会で抱くかすかな違和感をキャッチ!しよう
② 「召命の辞退」 しかし、主人公は目覚めよという声にたじろぐ。主人公は召命から逃走しようとする。
もしくは引き止められる 例)眠り姫を眠らす母性。
影の存在にあったり。
③ 「超自然な援助」 護符がもたらされる。これを与える援助者は、矮小あるいは貧しい老人や老婆の身なりをしていることが多い。
助言者は意地悪な妖精になっていることも。
キリスト教圏では聖母マリアで表されることも。プロップでの贈与者にあたる。 護符は服とか包み込むものであることもある。
護符は仮の姿であることもある 例)千尋が千になる。
護符はつまりは、ウィニコットがいうところの移行対象。 母胎内の平和の力を再保障するものであり、通過儀礼の目覚めの危機を抜けるのを護ってくれるもの 例)ライナスの毛布。
大塚(2008) はトトロ の猫バスはこの護符にあたると述べています。『鉢かつぎ』の鉢、姥皮(娘が被ると老婆に変身出来る皮)、『灰かぶり』の灰も護符であると述べています。
護符はあの世的要素がある物の方がいいのかもしれません。そういえば中沢(2002) は灰かぶり(シンデレラ)がカマドの側にいるのは、カマドというのはあの世とこの世をつなぐものであるから、といっていたような。
トレーニング受けることもある。『千と千尋の神隠し』 は、千尋がお婆さんから社会的トレーニングを受ける話ですね。そういえば、『幽☆遊☆白書』 において、幽助はお婆さんからトレーニングを受けますね。洞窟(母胎内を象徴する)で修行をすることもありました。
兄弟との争いがあったり。
④ 「最初の越境」 英雄は最初の境界をまたぎます。分離。異界への突入。 例)橋という象徴。
境界線には境界守がいたり。境界を守る者と対決したり。
進んでいくためにはエネルギーがいる。そのエネルギーの象徴が、才能、深い愛、武力、富、魔法であったり。
敵に殺されたり。四肢解体。磔刑。シャーマンになる者が巫病のなかで身体がバラバラになるヴィジョンをみることがあると、なにかで読んだことがあるような。
⑤ 「闇への航海」 英雄はさらに闇あるいは魔の領域に突入する。
それは奇妙に馴染み深い、超越的な力の支配する世界。夢の中のよう。胎内回帰。
自己消滅の危機さえ伴う。
求道者は悟りを得るために森や洞窟(母胎内を象徴)にこもって修行をしますね。
例)ピノキオが鯨に呑みこまれる。
ユングがいうところの夜の海の航海ですね。ユングはヨナ記においてヨナが海の怪物に呑み込まれることをあげていますが。
英雄神話はユングの『転移の心理学』 で述べられている過程と似ているなあ。ジョゼフ・キャンベルはユングも参考にしていたらしいですけど。
<ジョゼフ・キャンベルの英雄神話②>に続きます。
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